大阪地方裁判所 昭和39年(わ)4046号 判決 1966年6月15日
本店所在地
大阪市城東区今津北五丁目七番地
株式会社藤尾製作所
右代表者代表取締役
藤尾恒治
本籍
大阪市浪速区西神田町八七七番地
住居
寝屋川市大字三井七〇〇の三二番地
会社役員
藤尾恒治
大正一四年七月二五日生
右被告会社及び被告人に対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官谷村和治出席の上審理を遂げ、次のとおり判決する。
主文
被告会社株式会社藤尾製作所を判示第一の罪につき罰金五〇万円、同第二、第三の罪につき罰金一四〇万円に、
被告人藤尾恒治を同第一の罪につき罰金一五万円、同第二、第三の罪につき罰金四〇万円に各処する。
被告人藤尾恒治において右罰金を完納することができないときは、金五、〇〇〇円を一日に換算した期間同被告人を労役場に留置する。
訴訟費用は全部被告株式会社藤尾製作所及び被告人藤尾恒治の連帯負担とする。
理由
(罪となるべき事実)
被告会社株式会社藤尾製作所は大阪市城東区今津北五丁目七番地に本店を置き、キヤツプシール等の製造販売業を営むもの、被告人藤尾恒治は昭和三三年一〇月ごろより同四〇年二月ごろまで被告会社の専務取締役として被告会社の業務全般を統轄していたものであるが、被告人藤尾恒治は、被告会社の業務に関し、法人税を免れる目的をもつて、
第一、被告会社の昭和三五年九月一日より同三六年八月三一日までの事業年度における所得金額は一〇、七〇三、八九三円、これに対する法人税額は三、九六七、四四〇円であるとして申告すべきであるのに拘らず、公表経理上架空仕入を計上し、これにより得た資金を別途資産として留保する等の不正手段により、同事業年度の所得金額中一〇、〇一八、三二六円を秘匿し、同三六年一〇月二五日所轄城東税務署において、同署長宛に、同事業年度の所得金額は六八五、五六七円、これに対する法人税額は二二六、二一〇円である旨過少に記載した法人税確定申告書を提出し、よつて不正行為により同事業年度の法人税三、七四一、二三〇円をほ脱し、
第二、被告会社の同三六年九月一日より同三七年八月三一日までの事業年度における所得金額は七、三七四、八九九円、これに対する法人税額は二、六五五、七二〇円であるとして申告すべきであるのに拘らず、前同様の不正手段により、同事業年度の所得金額中五、五五七、七八四円を秘匿し、同三七年一〇月二二日前記税務署において、同署長宛に、同事業年度の所得金額は一、八一七、一一五円、これに対する法人税額は五五六、四四〇円である旨過少に記載した法人税確定申告書を提出し、よつて不正行為により同事業年度の法人税二、〇九九、二八〇円をほ脱し、
第三、被告会社の同三七年九月一日より同三八年八月三一日までの事業年度における所得金額は二〇、六二五、二六三円、これに対する法人税額は七、五八九、〇三〇円であるとして申告すべきであるのに拘らず、前同様の不正手段により、同事業年度の所得金額中一三、〇一四、四八六円を秘匿し、同三八年一〇月三〇日前記税務署において、同署長宛に、同事業年度の所得金額は七、六一〇、七七七円、これに対する法人税は二、六四六、〇〇〇円である旨過少に記載した法人税確定申告書を提出し、よつて不正行為により同事業年度の法人税四、九四三、〇三〇円をほ脱し
たものである。
(証拠の標目)
一、被告人藤尾恒治の当公廷(第一〇回、第一一回)における供述及び同被告人の第三、第七回各公判調書中の供述記載
一、同被告人の検察官に対する供述調書二通及び大蔵事務官に対する質問てん末書計六通
一、証人八島昭の当公廷における供述及び同証人作成の「藤尾恒治、藤尾正明個人所得、預金状況調書」と題する書面
一、城東税務署長作成の昭和三九年八月六日付証明書三通(被告会社の昭和三六年一〇月二五日、同三七年一〇月二二日、同三八年一〇月三〇日付各法人税申告書写)
一、八島昭作成の現金預金有価証券等現在高検査てん末書三通(昭和三九年四月二八日、四月九日、四月三〇日付)
一、田野年彦作成の供述書
一、田村房雄外一名作成の調査報告書
一、武政重樹作成の上申書二通及び同人の大蔵事務官に対する質問てん末書
一、田村房雄作成の昭和三九年五月九日付調査報告書
一、田淵年男作成の調査報告書
一、庄司勉作成の供述書及び同人の大蔵事務官に対する質問てん末書
一、飛松徹、高木幸夫、高橋健治郎作成の各供述書
一、山口清次作成の供述書
一、株式会社富士銀行今里支店作成の確認書及び小川定の大蔵事務官に対する質問てん末書
一、広島国税局長作成の嘱託調査の回報についてと題する書面
一、村田一、池田照子の大蔵事務官に対する各質問てん末書
一、細田庄作の確認書
一、大阪トヨペツト株式会社経理部主計課長(二通)、大阪トヨタ自動車株式会社、大阪日産自動車株式会社都島営業所長、岡田千恵子、浅野商事株式会社、常谷隆子各作成の照会事項の各回答書
一、柴田弘三作成の調査報告書
一、東洋信託銀行株式会社大阪支店証券代行部作成の照会事項の回答書及び回報書
一、藤尾正明の検察官に対する供述調書及び大蔵事務官に対する質問てん末書
一、押収の別口定期預りメモ一冊、定期預金の実取引者メモ六冊、金銭出納帳一冊、買掛帳(仕入帳)三冊、銀行勘定帳一冊、村田一、池田清治間の登記済権利証書一通、貸付係一時預り台帳一冊、増資払込領収証二枚、手形受払帳三冊、被告会社と大島鉄工所との契約書一通、同代金の請求書一通、細田庄作、佐藤逞(外一名)間の不動産売買契約証書二通、同領収書三通、同不動産登記済権利証書一通、振替伝票一二綴、経費明細帳一冊(昭和四〇年押第四三六号の一ないし一四、一六ないし二四)
(適用法令)
法人税法(昭和四〇年法律三四号)附則一九条、同法による改正前の法人税法四八条一項(被告会社については更に五一条一項)、(被告人藤尾恒治について罰金刑選択)、刑法四五条前段、四八条二項(ただし、判示第一の罪については、昭和三七年三月三一日法律四五号法人税法の一部を改正する法律附則一一項、同法による改正前の法人税法五二条により各別に処断する)、被告人藤尾恒治につきなお刑法一八条、訴訟費用につき、刑事訴訟法一八一条一項本文、一八二条。
(裁判官 石田登良夫)